脳血管疾患・心疾患・精神障害等 過労死・後遺障害の労災・損害賠償手続きマニュアル


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過労死・後遺障害・脳・心疾患の労災・損害賠償手続きマニュアル
(マガジンID:0000147867)

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■認定要件

業務起因性の項で脳血管疾患・心疾患の認定要件は3つあるとお話しましたが、具体的には次を指し示しています。

認定要件1「異常な出来事」

「発症直前から前日までの間において、発生状態を時間的及び場所的に明確にし得る異常な出来事に遭遇したこと」とは?

    異常な出来事
   

@精神的負荷
極度の緊張、興奮、恐怖、驚がく等の強度の精神的負荷を引き起こす突発的又は予測困難な異常な事態。

例えば: 業務に関連した重大な人身事故や重大事故に直接関与し、著しい精神的負荷を受けた場合などが考えられます。

    A身体的負荷
緊急に強度の身体的負荷を強いられる突発的又は予測困難な異常な事態。

例えば: 事故の発生に伴って、救助活動や事故処理に携わり、著しい身体的負荷を受けた場合などが考えられます。
    B作業環境の変化
急激で著しい作業環境の変化。

例えば: 野外作業中、極めて暑熱な作業環境下で水分補給が著しく阻害される状態や特に温度差のある場所への頻回な出入りなどが考えられます。
     
  評価期間
    発症直前から前日
     
    過重負荷の有無の判断
    @通常の業務遂行過程においては遭遇することがまれな事故又は災害等で、その程度が甚大であったか。
    A気温の上昇又は低下等の作業環境の変化が急激で著しいものであったか等について検討し、これらの出来事による身体的、精神的負荷が著しいと認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断します。

認定要件2「短期間の過重業務」

「発症に近接した時期において、特に過重な業務に就労したこと」とは?

    特に過重な業務
    日常業務〈通常の所定労働時間内の所定業務内容をいいます。〉に比較して、特に過重な身体的、精神的負荷を生じさせたと客観的に認められる仕事をいいます。
     
  評価期間
    発症前概ね1週間
     
    過重負荷の有無の判断
    特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等具体的な負荷要因を考慮し、同僚労働者又は、同種労働者(以下「同僚等」といいます。)にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断します。
     
  同僚等とは?
    脳疾患を発症した労働者と同程度の年齢、経験等を有する健康な状態にある者のほか、基礎疾患を有していたとしても日常業務を支障なく遂行できる者をいいます。
     
  業務と発症との時間的関連性を考慮して次の2点を判断します。
    @発症直前から前日までの間の業務が特に過重であるか否か。
    A発症直前から前日までの間の業務が特に過重であると認められない場合であっても、発症前おおむね1週間以内に過重な業務が継続している場合には、業務と発症との関連性があると考えられるのでこの間の業務が特に過重であるか否か。
     
  具体的な負荷要因
    @労働時間
    A不規則な勤務
    B拘束時間の長い勤務
    C出張の多い業務
    D交替制勤務・深夜勤務
    E作業環境(温度環境・騒音・時差)
    F精神的緊張を伴う業務
    ※負荷要因の程度を評価する視点は別表1,2を参照

認定要件3「長期間の過重業務」

「発症前の長期間にわたって、著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと」とは?

    疲労の蓄積
    恒常的な長時間労働等の負荷が長時間に渡って作用した場合には、「疲労の蓄積」が生じ、これが血管病変等をその自然経過を超えて著しく憎悪させ、その結果、脳疾患を発症させることがあります。
このことから、発症との関連性において、業務の過重性を評価するにあたっては、発症前の一定期間の就労実態等を考察し、発症時における疲労の蓄積がどの程度であったかという観点から判断します。
     
  評価期間
    発症前概ね6ケ月間
     
    過重負荷の有無の判断
    著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したと認められるか否かについては、業務量、業務内容、作業環境等具体的な負荷要因を考慮し、同僚等にとっても、特に過重な身体的、精神的負荷と認められるか否かという観点から、客観的かつ総合的に判断します。
業務の過重性の具体的な評価に当たっては、疲労の蓄積の観点から、労働時間のほか、次の6点の負荷要因について十分検討することとなっています。
     
  具体的な負荷要因
    @不規則な勤務
    A拘束時間の長い勤務
    B出張の多い業務
    C交替制勤務・深夜勤務
    D作業環境(温度環境・騒音・時差)
    E精神的緊張を伴う業務
    ※精神的緊張を伴う業務は別表2を参照
     
  労働時間の評価の目安
    疲労の蓄積をもたらす最も重要な要因と考えられる労働時間に着目すると、その時間が長いほど、業務の過重性が増すところであり、具体的には、発症日を起点とした1ケ月単位の連続した期間をみて、次の3点を踏まえて判断します。
    @発症前1ケ月間乃至6ケ月に渡って、1ケ月当たり概ね45時間を超える時間外労働が認められない場合は、業務と発症との関連性が弱いと評価できること。
    A概ね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症の関連性が徐々に強まると評価できること。
    B発症前1ケ月間に概ね100時間又は発症前2ケ月間乃至6ケ月に渡って、1ケ月当たり概ね80時間を超える時間外労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いと評価できること。
    ※「発症前1ケ月間乃至6ケ月間」は、発症前1ケ月間、発症前2ケ月間、発症前3ケ月間、発症前4ケ月間、発症前5ケ月間、発症前6ケ月間のすべての期間をいいます。
    ※「発症前2ケ月間乃至6ケ月間」は、発症前2ケ月間、発症前3ケ月前、発症前4ケ月間、発症前5ケ月間、発症前6ケ月間のいずれかの期間をいいます。

 

労働基準法32条では、日の法定労働時間を8時間、週については40時間を超えて労働させてはならないと規定しています。もしこれを超えて労働させる場合は、事前に同法36条に基づく労使協定を締結し、残業する従業員やその業務、残業する時間について労働基準監督署に届出なければなりません。もちろん、この場合でも届出をすれば残業が法的に許されるというものではなく、従業員に対する健康を損なうことのないよう、会社には安全配慮義務が課されます

これまで述べてきた通り、労災認定を勝ち取るには、『どれだけの過重労働であったのか』をタイムカードや給与明細によって立証しなければなりません。認定要件としては、先ず長時間労働の立証、次に健康管理上、心身に著しく支障をきたす業務であったかどうかが問われます。日頃からタイムカードを実態に即してきちんと記録することはもちろんですが、勝手にタイムカードを押されるまたは押してからサービス残業せざるを得ない場合は、ご家族の方が日記やメモに記録しておくなどの対策が後に大きな証拠をなります。

 

次項では、いよいよ労災申請手続に入ります。

     
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